小さい頃、早く大人になりたいと思っていた。
大人になったら、なんでも自分でやりたいことが選べて、好きなことが自由に出来て、不自由ないとか思っていたのかもしれない。
中学生になって、大人の仲間入りだと親に言われた。
大人って、一体なんだったんだろう。
やりたいことを自由に選択できない癖に、大人を求められて、大人への憧れは消えた。
いつからか、大人になりたくないと思っていた。
でも、誰かが言っていた。
『大人になりたくない』と思うのは、大人になった人だけ、と。
いつの間にか、なりたくもない大人になっていたんだ。
いつからか、子供に戻りたいと思うようになっていた。
なんでも自分で選択して、選択した全てが自分の責任になることに辛さを感じた。
子供でいることの方が、決められたレールの上を走ることの方が、自分にとっては幸せだったんだと気付いた。
だけど、子供に戻れる日はいつまでも来ない。
だから、大人を取り繕わないといけないんだ。
私は、不完全な大人だ。
きっとこれからも、大人になりきれない。
私以外にも、同じような人はいるんだろう。
だけど、この悩みを口外する人はいないかもしれない。
同じ悩みを抱えている人だとしても、理解がある人だとしても、この悩みはどうすることも出来ないから。
一生付き合っていかないといけない悩みだから。