夏の夜は暑い。
寝室にクーラーがない私たちは、リビングで寝るようになった。
私は夕方まで寝ていて、すぐには寝付けないから、寝室で時間を潰してから、リビングに行く。
暗闇から聴こえるいびき。私が物音を立てても、簡単には起きない存在が、どんな顔をしているのか想像しながら自分の持ち場に着く。
私の寝床は、彼とは少し離れている。狭いリビングでは仕方の無い事だった。
私が寝る場所の正面には、クーラーが位置している。
真っ暗な部屋の中に、クーラーからぽつんと光る、オレンジ色の灯り。
それをぼーっと眺めながら、めがねを机の上に置いた。すると、オレンジ色の灯りは大きくなり、模様を変えて目の前に現れた。
あぁ、いつの間にか目がこんなにも悪くなってしまったんだなぁ。そう思った。
そんな深夜2時。